瀬戸内を味わう、寄り道の列車etSETOra瀬戸内を味わう、寄り道の列車etSETOra

SIDE STORY03

「アテンダント」の声を聞く。

旅人と
心温まるひとときを

etSETOraに乗車してしばらくすると、ホワイトとネイビーを基調としたシックな制服に身を包んだアテンダントが、列車のヘッドマークを模したコースターを手渡してくれます。やわらかな声かけと落ち着いた所作に、車内の空気がふっと整うのを感じる瞬間です。

この列車では、アテンダントが車内に立ち、案内や販売、停車時の対応を通して、旅の時間そのものを支えています。効率よく目的地へ向かうのではなく、「どう過ごすか」を大切にするetSETOraにおいて、その存在は欠かせません。

この列車で過ごすひとときは、単なる移動ではなく、旅の一部として味わうためのもの。瀬戸内の景色とともに流れる時間を、すぐそばで支えるアテンダントの仕事と思いに迫ります。

売店カウンターで応対するアテンダント

移動を超えて、旅の一部に。

etSETOraには、さまざまな人が乗車している。一人旅を楽しむ人、夫婦や友人同士、家族連れ、両親に旅をプレゼントする大学生や社会人。そして最近は、台湾をはじめ海外からの旅行者も増えている。

途中下車する人も多い。忠海駅から港に向かい、「うさぎ島」として知られる大久野島へフェリーで渡る人、竹原駅や三原駅、尾道駅で降り、町歩きや観光を楽しむ人など、目的は多様だ。だが、いずれの場所に行くにしても、もっと早い交通手段もある。

それでもあえてetSETOraを選ぶのは、列車に乗ること自体が旅の目的の一部だから。移動をただの手段にせず、瀬戸内の景色や列車の雰囲気を味わう。そんな時間をより心地よく、特別なものにするのが、アテンダントの役割だ。

仕事内容は多岐にわたる。車内では、販売カウンターでオリジナルグッズやお菓子、ドリンクを提供し、停車駅が近づけば観光情報をアナウンスする。停車時には手動ドアを開け、乗降を確認。新しく乗車した人にコースターを渡すところまでが、ひと続きの所作として繰り返されていく。

旅の流れを整える、車内アナウンスのひととき

やさしい時間、そのそばで。

忙しい業務の合間に、アテンダントがふと心を和ませる時間がある。列車が安芸津駅、竹原駅に停車するひとときだ。停車時間はそれぞれ7分、5分ほどあり、ホームに降りて写真を撮る乗客も多い。車内販売も一段落し、乗客に「写真を撮りましょうか」と声をかけたり、列車を撮ってもらったりと、自然なコミュニケーションが生まれる。そんな時間が、アテンダントにとって好きなひとときだという。

忠海駅を過ぎると訪れるビュースポットも、印象深い場面のひとつだ。列車と海の距離がぐっと近づき、窓のすぐ外に穏やかな水面が広がる。進行方向に向かって身を乗り出すように景色を眺める人、思わず声を上げてカメラを構える人。これから始まる旅への期待が、車内の空気ににじむように伝わってくる。

そして午後の運行では、同じ場所を通りながらも、車内に流れる時間が変わっていく。グラスを傾けながら海を眺める人、静かに窓の外に目を向ける人。柔らかな光に包まれたその光景が、列車全体をゆったりとした余韻で満たしていく。こうした瞬間に立ち会えることが、アテンダントにとって大きな癒しになる。

鮮やかな青が目を引く「SETO Blue Coffee」

手を振る、その先へ。

三原駅や尾道駅、福山駅での発車時も、心に残る場面だ。ホームから手を振る人々に、乗客と一緒になって手を振り返す。ほんの短い時間ではあるが、旅の温かさが凝縮されたひとときでもある。

たくさんの心温まる瞬間に触れるたび、「もっと多くの人にetSETOraの魅力を知ってほしい」という思いが、自然と強くなっていく。列車を降りる際に交わされる「楽しかったです」「また来ます」というひと言。ホームで手を振り合うその一瞬一瞬が、次の運行への力になる。

瀬戸内の風景とともに、アテンダントは今日も、etSETOraという旅をそっと支えている。

瀬戸内を味わう、寄り道の列車etSETOra

人、まち、社会の
つながりを進化させ、
心を動かす。
未来を動かす。