山口線を走る、時代を超えた列車SLやまぐち号山口線を走る、時代を超えた列車SLやまぐち号

SIDE STORY02

「SLアテンダント」の声を聞く。

学生の学び
SLの車内にて

SLやまぐち号の車内では、ときどき、旅の時間をそっと彩る存在に出会うことがあります。

それが、山口県立大学の学生による「SLアテンダント」です。SLアテンダントは毎回の運行で実施されているわけではなく、月に1回程度の参加。その日に乗り合わせた乗客にとっては、楽しみが一つ増える、特別な出会いでもあります。

大正時代の衣装に身を包み、沿線の案内や記念撮影の手伝いをする学生たち。その姿は、SLやまぐち号の車内に自然と溶け込み、旅の空気をやわらかくしてくれます。

今回お話を伺ったのは、山口県立大学 国際文化学部 文化創造学科に通う2年生の縄田さん、上廣さん、3年生の妹尾さん。学生たちは、この列車でどんな経験をし、何を感じているのでしょうか。その声から、SLやまぐち号のもう一つの現場をひもときます。

取材時にSLアテンダントを務めた、縄田さん(中)、上廣さん(右)、妹尾さん(左)

車内に立つ、という経験。

SLアテンダントとして活動する学生たちは、観光列車のスタッフというよりも、学びの延長線上で現場に立つ存在である。山口県立大学 国際文化学部 文化創造学科で、観光や地域文化、まちづくりを学ぶ中で、この活動を知り、参加するようになった。

今回話を聞いた3人の参加回数はそれぞれ異なる。縄田さんは2回目、上廣さんは3回目、妹尾さんは今回が初めての乗車だった。回数を重ねることで見えてくることもあれば、初めてだからこそ感じられる驚きもある。立場は違っていても、同じ車内に立ち、同じ目線で乗客と向き合っている。

SLアテンダントは、限られた機会の中で実施される活動だ。その日その場に集まった学生が、役割を分担しながら車内に立つ。決まった正解があるわけではなく、自分なりに考え、行動することが求められる。そのプロセス自体が、学生たちにとって学びとなっている。

学生たちが立ち、学びの現場となるSLやまぐち号の車内

衣装がつなぐ、距離感。

SLアテンダントの特徴の一つが、大正時代をイメージした衣装に身を包んで活動する点だ。学生たちにとっても、この衣装を着ることは楽しみの一つであり、気持ちが切り替わる瞬間でもあるという。

制服ではなく、時代を感じさせる衣装を身にまとうことで、自然とSLやまぐち号の世界観に入り込める。乗客から声をかけられるきっかけにもなり、写真撮影を通じて会話が生まれることも多い。学生たちは、衣装が単なる演出ではなく、人と人との距離を縮める役割を果たしていることを実感している。

車内では、乗客一組ごとに配布物を手渡し、その内容を説明していく。その一つ一つのやり取りは、学生たちにとって緊張の連続だ。縄田さんは、うまく伝えられなかったと感じる場面もあったと振り返るが、その悔しさが次への意欲につながっているという。上廣さんは、回数を重ねる中で、乗客の表情や車内の空気を見る余裕が生まれてきたと話す。妹尾さんは、初参加ながら、乗客との自然なやり取りが印象に残ったという。

学生たちがまとう、大正時代を思わせる衣装

乗って初めて、見えるもの。

3人に共通していたのは、「実際に乗ってみて初めて分かることが多い」という実感だった。

SLやまぐち号は、外から眺めるだけでは伝わらない魅力を持っている。レトロな車内の雰囲気、走行音や揺れ、座席の感触。そうした体験の積み重ねが、特別な時間をつくり出している。

縄田さんは、もっと気軽にSLやまぐち号を知ってもらえたらと感じるようになったという。上廣さんは、学生が関わることで、列車に親しみを感じる人が増えるのではないかと考えている。妹尾さんは、車内で生まれる会話や交流こそが、地域活性化の原点だと実感した。

SLアテンダントとして過ごす時間は、観光列車の裏側を知る経験であると同時に、地域と向き合う入口でもある。月に1回程度、限られた機会にだけ現れるSLアテンダント。その存在は、乗客にとって旅の楽しみをそっと広げ、学生にとっては学びを現場で確かめる時間となっている。SLやまぐち号の車内には、今日も、こうした小さな出会いと経験が静かに積み重なっている。

旅と学びを乗せて走る、SLやまぐち号

山口線を走る、時代を超えた列車 SLやまぐち

人、まち、社会の
つながりを進化させ、
心を動かす。
未来を動かす。