美祢市/山口

美祢に見つけた理想の土地と水
一粒に宿るブルーベリーの力
農園から広がる多彩な美味しさ

美祢市/山口

有道 典広_美祢ブルーベリーガーデン

2026.01.21

山口県の中央部に位置する美祢市は、石灰岩が広がるカルスト台地「秋吉台」や神秘的な大鍾乳洞「秋芳洞」、透明度の高い水が湧き出る「別府弁天池」など、豊かな自然に恵まれた土地です。

この地で農業に取り組むのが、有限会社アグリプラン。美祢ブルーベリーガーデンを運営し、ブルーベリーやパプリカ、トマトなどを栽培するほか、ジャムやヴィネガー、調味料といった加工品の製造・販売にも力を入れています。美祢の気候や水質を生かして栽培された果実や野菜は味わい深く、地域の魅力を伝える存在となっています。

今回は、アグリプランの創業者であり代表取締役の有道典広さんに、美祢ブルーベリーガーデン開園までの道のりや、青果・加工品へのこだわり、そして今後の展望についてお話を伺いました。

思いを語る、代表の有道さん

ブルーベリーが開いた新しい扉

有道さんは美祢市で育ち、先代が同市内に創業した建設会社(旧・有限会社有栄産業、現・株式会社ユウエイ)を引き継いだ。法人化以降は公共工事を中心に地域のインフラ整備を担い、現在はマンションの大規模修繕など、民間工事にも事業の幅を広げている。

建設業に従事する一方で、農業にも関心を寄せていた有道さん。趣味としていちごやトマト、ブルーベリーなどさまざまな作物を育てるうちに、作物ごとの育て方、土壌や水の性質などにも理解が深まり、農業への興味はますます強くなっていった。やがて「美味しくて安心して食べられる果物や野菜を、自分の手で育てて多くの人に届けたい」という思いが芽生え、挑戦を考えるようになった。

数ある作物の中でも、特に惹かれたのがブルーベリーだった。「名前がかっこいいと思って。なんだか様になるじゃろ」と笑いながら当時を振り返る。比較的丈夫で、建設業と並行して栽培しやすかったこともあり、趣味から一歩踏み出し、農園を開園して事業として取り組む覚悟を決めた。

美祢市内にある「株式会社ユウエイ」社屋

美祢に見つけた理想の農地

栽培への挑戦を決意した有道さんは、まず農地の選定に取りかかった。ブルーベリーの栽培に適した条件を求めて探し続け、約2年をかけてようやく見つけたのが、美祢市伊佐町にある現在の土地だ。

周囲に田畑がなく、すり鉢状の盆地に位置しているため、農薬の飛来リスクが低かった。また、ブルーベリーは酸性の水を好むが、美祢市は石灰岩地帯にあるため、一般的にはアルカリ性の水が多い。そんな中、この土地には酸性の湧水や山水があり、栽培に理想的な水質が得られた。さらに、内陸に位置することで海の影響を受けにくく、気温の日較差・年較差が大きいため、果物や野菜の甘みを引き出すのにも適していた。こうした自然環境の条件が揃っていたことに加え、子どものころから親しんできた美祢への愛着も、選定の後押しになったという。

農地が決まると、有道さん自ら重機を操り、約1ヘクタールの農地を整備していった。そして2006年、有限会社アグリプランを設立。美祢ブルーベリーガーデンを開園した。

美祢ブルーベリーガーデンに実ったブルーベリーの果実

こだわりが生む多彩な味わい

美祢ブルーベリーガーデンは開園後も規模を拡大し、現在では約2ヘクタールの農地で20品種ほどのブルーベリーを中心に、パプリカやトマトなども栽培している。中でも注目したいのが「美祢の雫」と名付けられたブルーベリー。複数の品種の中から直径18mm以上の大粒のみを選抜したブランドで、糖度が高く、食べ応え十分だ。

加工品のラインナップも豊富で、ブルーベリー・夏みかん・りんご・いちごを使ったジャムのほか、ブルーベリーヴィネガーやパプリカ調味料などがある。「ブルーベリーヴィネガー黒酢入り」は、自家栽培のブルーベリーを鹿児島県霧島市の醸造酢に漬け込み、壺造り黒酢を3%配合したこだわりの一品。爽やかな酸味とほのかな甘味が特徴で、水や炭酸水、お湯などで割って飲むほか、料理やデザートにも活用できる。シンプルかつ高級感のあるボトルデザインで、贈り物にもおすすめだ。

左からいちご、ブルーベリー、夏みかん、りんごのジャム

地域の美味しさを、これからも

ジャムやヴィネガーなど複数の加工品を手がける美祢ブルーベリーガーデン。その商品づくりには、明確なこだわりがある。むやみに種類を増やすのではなく、一つ一つを磨き上げる方針だ。マーケティングの法則として有名な「ジャムの法則」にあるように、選択肢が多すぎると消費者の意思決定はかえって難しくなる。だからこそ、既存の商品をブラッシュアップし、品質を高めることに注力しているという。

こうして磨き上げられた加工品は、自社オンラインショップなどでも販売されている。中でもブルーベリージャムは、品質の高さが認められ、関東圏のセレクトショップを中心に取り扱いが広がっている。さらに、台湾やタイなど海外への出荷も進み、現地での評価も非常に高い。ブルーベリー栽培の技術指導を求められ、有道さんは現地を訪れ、農家の育成にも携わっている。また、ブルーベリーの青果についてはレストランでも提供されており、取引先からは「入荷するとお客様が増えるので、毎年買いたい」という声も寄せられているという。

今後については、一般消費者との接点をさらに広げるため、敷地内にカフェの開設を計画中。2026年4月のオープンを目指し、現在は設計段階にある。農園で育った果実や野菜を楽しめる場として、地域の新たな魅力発信拠点になるだろう。

「まだまだ農業には可能性があります。たとえ周りに大人しくしていてくれと言われても、諦めるなんてできません。やりたいことだから、とことんやりますよ」と有道さんは笑顔を見せる。美祢ブルーベリーガーデンは、これからも挑戦を重ね、農業の新しい可能性と「美祢ならではの味わい」を多くの人に届けていく。

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