下関市/山口

人と文化が出会う場所「ねをはす」
読むことが、旅になる
ここだけの時間に出会う

下関市/山口

浜井 弘治_TIGER BAMBOO JEANS

2025.11.12

新下関駅から徒歩6分ほどの場所にある、「ねをはす HOTEL BOOK & CAFE」。2024年11月にオープンした唯一無二の「泊まれる本屋」です。1~2階には約2万冊の本を販売するカフェ併設の書店が入り、その一角には服飾デザイナーの浜井弘治さんが手がけるブランド「TIGER BAMBOO JEANS(タイガーバンブージーンズ)」の店舗も。3階は下関の食材をふんだんに使った料理を堪能できる「Restaurant Neohas」、そして4~7階は客室ごとにコンセプトが異なる「ねをはす Book&Hotel」となっています。

施設の運営を担うのは、下関で建設・不動産業などを営む林成吉さん。株式会社はやし住宅の代表取締役社長を務めており、浜井さんとは中学時代の同級生という間柄です。今回はともに「ねをはす」をかたちにした林さん、浜井さんのお二人にお話を伺い、見えづらいところにこそこだわりが詰まっているという同施設の魅力を深掘りしました。

「ねおはす」で語り合う、林さん(左)と浜井さん(右)

人々の拠り所となるような場所に

まずは、「ねをはす」開業の経緯をたどりたい。「地域の人たちの拠り所となるような居心地のよい空間を作り、まちづくりの一翼を担いたい」と考えた林さん。自身が本のある空間に心惹かれることもあり、本に関わる施設の開業を決めたという。関連の知見がある地元の仲間たちに声をかけて、4人でプロジェクトをスタート。そのなかに、一時は疎遠であったが、地元に戻ってデザイン事務所を立ち上げている浜井さんもいた。

経営基盤の強化を目的に、ホテルの運営も決定。書店については全くノウハウがなく、ブックカフェを視察してまわったそうだ。各地を訪れて、「空間デザインはもちろん、本のセレクトが素晴らしかった」という書店を手がけたブックディレクターらの協力を得られるように。選書などを任せることで、よりクリエイティブな施設が完成した。

林さんの心に適い、現在「ねをはす」は皆が集う場として機能している。ゆったり腰をかけて気になる本に目をとおす人や、カフェのドリンクを飲みながら勉強に勤しむ学生。厳しいルールを定めているわけではないものの、誰もがマナーを守って施設を利用し、丁寧に本を扱ってくれるという。なお、2階にある「select shop / Tiger Bamboo Jeans」の様子は書店サイドからガラス越しに眺めることも可能。「デザイナーの仕事が見られる場所ってそうないでしょう。ここからファッションに興味を持つ子がいればうれしいですね」と林さんは目を細める。

思いもよらなかった本との出会いがある空間

「ねをはす」ならではの特別な体験

「ねをはす」を語るうえで欠かせないのが、「宿泊者だけが愉しめる夜の本屋」を展開している点だ。夜21時から朝5時までの間、宿泊者たちはホテルレセプションにて貸し出されるランタンの光を頼りに、昼とは全く異なる表情をみせる本の森を探索することができる。幻想的な雰囲気のなか、未だ見ぬ本に出会うという特別な体験。気になる本を購入し、そのまま客室へ持ち帰ることも可能という。

客室には浜井さんが手がけた上質なリネン類が揃う。実際に使用したリラクシングウェアやタオルを気に入り、購入する宿泊者も少なくない。「浜井は地元のクラフトマンですから。その場所ならではの地域性が失われつつある時代にあって、彼のような存在に焦点を当てることもまた、『ねをはす』の役目と考えています」と林さんは語る。

「ねおはす」内では、居心地のよい本体験ができる

情報発信を続ける地域に根差した施設

浜井さんは「ねをはす」のプロジェクトが走り出した当初から、「施設を作って終わりではない。作ったあとに情報発信を続けていくことの方が重要」との思いを抱いていたという。そのスタンスは変わっておらず、「ねをはす」は講演会やミニライブ、ワークショップなどを積極的に実施中だ。ホテルの評判もSNSなどを通じて日を追うごとに高まっており、「ねをはす」に泊まることを目的に下関を訪れる方も多いのだとか。客室や廊下にまで本が並んでいるため、「一泊だけではとても足りない」という声も上がっている。

その名のとおり、下関の地に根を張り、人と文化の交流拠点になっている「ねをはす」。林さんに他の地域へ進出する予定はないのかと尋ねたところ、「ここだけでお腹いっぱいです」と笑顔で返された。思いを込めて作り上げられた、ここでしか出会えない特別な空間。宿泊料金は抑えられているため、ぜひ訪れてみてほしい。

ねをはす HOTEL BOOK & CAFE

〒751-0873 山口県下関市秋根西町2丁目7-2 地図を見る

TEL/ (ホテル)083-250-8460
(書店)083-250-6018
(レストラン)083-250-7355
営業時間/ (BOOK & CAFE)10:00~20:00
(レストラン)ランチ11:30~LO14:00
     ディナー18:00~21:00

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