広島市/広島

より良いものを選ぶ
スイーツから始まる
ベターフォーユー

広島市/広島

宮田 和季_セディカル

2026.04.15

健康のために、日常的にスイーツを控えている人もいるでしょう。しかし、甘いものを楽しむひとときには、気持ちをほっと緩めてくれる力があります。

広島市に拠点を置くセディカル株式会社は、そんな相反する思いのあいだに、新しい選択肢を提案してきました。低GI設計(食後の血糖値上昇を緩やかにする)、砂糖不使用、グルテンフリーなど、独自の基準を掲げながらも、美味しさにもこだわったスイーツを手がけています。

その背景にあるのは、代表取締役社長・宮田和季さんが、介護事業に携わる中で食の重要性を実感してきた経験。そして、医師との出会いをきっかけに抱くようになった「病気になる前にできることがあるのではないか」という問いでした。宮田さんにセディカル創業の原点から現在、そしてこれからの展望まで伺いました。

「食べるをもっと健康に、健康をもっと楽しく」――そして「食べることを、もっと自由に。」。セディカルが掲げるこのメッセージのもと、その取り組みを紐解いていきます。

食と健康への思いを語る、代表の宮田さん

食に目を向け、生まれた問い

宮田さんはセディカル創業以前、介護事業に携わっていた。また、これまでにも新規事業の立ち上げに関わるなど、事業づくりの現場を経験してきた。その中で強く意識するようになったのが「食」の存在だ。身体の自由が限られていく高齢者にとって、食事は大きな楽しみであり、生きる張り合いにもなる。しかし、当時の介護現場では冷凍食品が提供される場面も多く、「これでいいのだろうか」と違和感を覚えるようになった。

こうした思いを抱いていたころ、知人を通じて一人の医師と出会う。そして、治療の一環としておこなわれる食事制限により「食事の時間が楽しくなくなってしまった」という患者の声があることを知る。治療のためとはいえ、食べる楽しみが失われることは、気持ちの面で大きな負担になるのではないか。その問いは、介護現場で抱いてきた違和感とも重なった。さらに、「そもそも病気になる前の段階で、生活の中からできることがある」という医師の言葉を受け、日々の食について意識するきっかけづくりができないかと考えるようになる。

着目したのは、多くの人にとって身近で手に取りやすいスイーツだった。罪悪感なく楽しめる「ギルトフリー」の一歩先へ。より良いものを選ぶ「ベターフォーユー」という考え方を提案するスイーツをつくろう――。実現のため、宮田さんは2021年にセディカルを創業した。

低GI設計と美味しさを両立したチョコレート「メディカレート」

制限の先にある美味しさ

セディカルは主に2つのブランドを展開している。一つは、低GIを軸に据えた「メディカレート」。もう一つが、カカオの魅力を前面に出した「ノエルベルデ」だ。

このうちメディカレートは、すべての商品を低GI設計(食後の血糖値上昇を緩やかにする)とし、砂糖不使用・グルテンフリー・乳製品不使用・添加物不使用・遺伝子組み換え作物不使用という5つの約束を掲げている。また、美味しさを強く意識した商品づくりも特徴だ。砂糖や乳製品、香料といった、美味しさを支える食材を使わずにスイーツをつくることは簡単ではない。構想段階でパティシエやショコラティエに相談した際には、「それでは難しい」と言われることも多かったという。

それでも諦めずに考え続ける中で、目を向けたのが素材そのものの力だった。主力であるチョコレートには、香り豊かなエクアドル産カカオを使用。原料の品質にもこだわり、カカオ本来の香りやコクを生かして味わいを組み立てることで、制限の多い設計の中でも満足感のある美味しさを実現した。また、抹茶などの副素材についても、高品質なものを選びぬき、奥行きのある味わいをめざした。

心の状態は、日々のコンディションにも少なからず影響する。だからこそ、健康を理由に楽しみを奪うのではなく、食べることで気持ちが前向きになるような味わいを追求している。

カカオの魅力を生かしたラインナップ「ノエルベルデ」

変わり始めた風向き

立ち上げ当初、セディカルの取り組みに対しては懐疑的な声も少なくなかった。「スイーツを食べるのに、健康を気にする人はいない」。そんな厳しい声を投げかけられたこともある。

風向きが変わり始めたのは、コロナ禍を経たころ。生活習慣や健康への意識が高まり、食の選択肢にも変化が生まれた。以前は取り扱いに慎重だった店舗からも声がかかるようになり、百貨店の催事では想定以上の反響を得ることも増えていった。現在、メディカレートの販路は、自社オンラインショップに加え、各地の薬局や百貨店の催事など少しずつ拡大してきている。

また、近年は大手メーカーからも健康を意識したチョコレートが発売されるようになり、市場自体も広がってきた。しかし、こうした流れの中でも「セディカルには強みがある」と宮田さんは語る。添加物に頼らず、味と設計の両立を追求してきた姿勢は、簡単に模倣できるものではないからだ。市場の広がりは、日々の食に意識を向ける人が増えていることの表れであり、ひいてはセディカルが掲げる「ベターフォーユー」という考えが浸透していくことにもつながる。この変化を宮田さんは前向きに受け止めている。

日常に取り入れやすい新商品「チョコクランチ」

日常に寄り添う選択肢へ

今後、セディカルがめざしているのは、より日常に近い場所で商品を手に取ってもらうことだ。コンビニやスーパー、ドラッグストアなど、チェーン店への展開を視野に入れている。また、スイーツにとどまらず、日常的な食事への展開も構想中だ。スイーツは、「ベターフォーユー」という考え方を知ってもらう入り口にすぎない。将来的には、食全体を通じて健康を支える存在になることをめざしている。

さらに、ヘルステックを活用し、個人の状態に応じた食の提案をおこなうことも検討している。過去に手がけた体験型イベントでは、質問への回答をもとにチョコレートを選ぶ仕組みを導入し、「パーソナライズされた食」の可能性を実感したという。

いずれにしても、今後も「食」と「健康」に向き合うという軸は変わらない。スイーツを我慢するのではなく、より良い選択として楽しむ。その選択肢を日常のすぐそばに置き続けること。それが、セディカルという会社の姿勢である。

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