四季を味わう
原田の一杯
ひらかれた酒場
四季を味わう
原田の一杯
ひらかれた酒場
周南市/山口
2026.05.20
山口県周南市に蔵を構える、株式会社はつもみぢは、江戸時代後期に創業しました。時代の流れのなかで酒づくりを休止していた時期もありましたが、2005年からは再び自らの手で酒を醸すようになりました。
代表銘柄である「原田」は、山口県内産の米と、錦川源流域・鹿野地区の清らかな水を用いて仕込まれる純米酒。四季醸造により新鮮な状態で、県内をはじめ、全国、そして海外へと届けられています。
また、2023年には酒蔵に併設する形で、酒やスイーツを楽しめる「HARADASA KABA」もオープン。酒蔵をより身近に感じられる場所として、地元住民や市外から訪れる人で賑わいを見せています。
最高峰の一本から日常酒、季節限定酒まで、それぞれ異なる魅力を持つ「原田」と、「HARADASA KABA」の魅力について、12代目蔵元・原田康宏さんと、原田さんの長女でもある、醸造部・渡邊智代さんに伺いました。
蔵元である原田さん(左)と、長女でもある醸造部の渡邊さん(右)
はつもみぢが手がける数ある酒の中でも、最高峰に位置づけられているのが「原田 純米大吟醸原酒35」。年に一度だけ仕込まれ、年間の生産本数は800本程度に限られている。
山口県内の契約農家が育てた山田錦を35%まで磨き上げ、低温でじっくりと発酵。華やかで優雅な香りと、フルーティーな味わいを引き出している。食中酒としてはもちろん、食前に単体で楽しむのもおすすめだ。
晴れの日の一杯や大切な人への贈り物にもふさわしい、品質の高さを追求した特別な一本といえる。
原田 純米大吟醸原酒35
「原田 特別純米酒 西都の雫」は、日々の食卓に寄り添う一本だ。山口県で開発された酒米「西都の雫」を使用し、精米歩合60%で仕込まれている。麹米に山田錦を使うことで、西都の雫ならではのキレの良さに、ふくらみのある味わいを持たせている。
米の旨みがしっかりと感じられるため、肉料理など味の濃い料理とも好相性。価格も手に取りやすく、原田さんは「日常的に楽しんでもらいたい一本」と位置づける。
原田 特別純米酒 西都の雫
四季醸造を強みとするはつもみぢでは、その特性を生かした季節限定酒も展開している。「日本の季節は、呑める」というキャッチフレーズのもと、「ハル」「ナツ」「アキ」「フユ」の4種類が、それぞれの季節に合わせて登場する。
「ハル」は、搾りたての純米吟醸をそのまま瓶詰めした無濾過生原酒。あらばしりならではのフレッシュさと、ほのかな発泡感が春の訪れを感じさせる。「ナツ」は、14度の低アルコールに仕上げた特別純米無濾過生酒。すっきりとした味わいで、暑い季節にも飲みやすい設計だ。
「アキ」は、特別純米酒を半年熟成させたひやおろし。まろやかさと深みが増し、ぬる燗でも楽しめる。「フユ」は、特別純米にごり酒。米の旨みとキレの良さ、わずかな発泡感が冬の食卓に寄り添う。
季節ごとに表情を変える原田は、飲み手に日本酒の奥行きと楽しさを感じさせてくれる。
季節限定酒「ハル」「ナツ」「アキ」「フユ」
2023年、はつもみぢの自社敷地内にオープンした「HARADASA KABA」。倉庫を改装した落ち着いた空間では、原田をはじめとする日本酒はもちろん、酒蔵ならではのスイーツやノンアルコールドリンクも楽しめる。営業は月曜から土曜の13~19時で、蔵見学のあとや仕事帰りにも立ち寄りやすい時間帯だ。
立ち上げ当初は、気軽に日本酒を楽しめる「角打ち」の場としてスタートした。「酒蔵の敷居を下げ、気軽に足を運べる場所にしたい」という原田さんの思いが背景にある。また、ここを起点に、地域の飲食店などに人の流れが生まれることも願っている。
その後、渡邊さんを中心としたスタッフのアイデアによって、提供するメニューは少しずつ広がっていった。現在では、訪れる人それぞれの楽しみ方に応えられるラインナップが整っている。さらに近年では、イベントスペースとして利用したいという声も増え、そうした要望にも応えているという。
メニューのなかで、特に人気を集めているのが、光や空気を遮断する特殊なサーバー「ケグドラフト」で味わう搾りたての日本酒だ。「できたての日本酒は、言葉では表しきれない美味しさ」と原田さん。渡邊さんも「飲んだ方は皆さん驚かれます」と胸を張る。
ノンアルコール派には、「麹甘酒ラテ」もおすすめ。米と米麹だけでつくった甘酒に、豆乳を合わせた一杯だ。プレーン、抹茶、コーヒー、季節限定の味が用意されている。
周南に訪れた際には、ぜひ「HARADASA KABA」にも足を運び、できたての日本酒やスイーツを味わってみてほしい。

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