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尾道市/広島

お茶にはそれぞれ個性がある。
在来茶の無肥料・無農薬栽培で
お茶の価値を伝えたい

尾道市/広島

髙橋 玄機_TEA FACTORY GEN

2024.06.05

日本人にとって馴染み深い「お茶」。お茶の産地といえば?と問われた時に広島県と答える人は、まずいないでしょう。実際、2023(令和5)年における一番茶の荒茶(茶畑でとれたままのお茶)生産量は1位が静岡県、2位が鹿児島県、3位が三重県となっており、上位に広島県の名前を見ることはありませんでした。

お茶づくりとは縁遠そうに見える広島県。しかし、そんな広島県でお茶に向き合い続ける人がいます。ALL ABOUT TEA株式会社CEOの髙橋 玄機さんです。2016年にTEA FACTORY GENというブランドを設立し、広島県世羅郡世羅町で無肥料・無農薬による在来茶の栽培や茶葉の加工・製造を開始。その後、尾道市に直営店である「TEA STAND GEN」と「茶立玄 山手(TEA STAND GEN YAMATE)」をオープンしました。

髙橋さんが広島県で、それも無肥料・無農薬という珍しい方法でお茶づくりをするのは「お茶には個性があり、面白いものだと知ってほしいから」だといいます。髙橋さんにTEA FACTORY GENのこれまでの歩みや現在力を入れている取り組み、今後の展望についてお聞きしました。

※令和5年産一番茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県)|農林水産省

直営店「茶立玄 山手」のお茶と茶菓子のセット

世羅町で在来茶の無肥料・無農薬栽培

髙橋さんが広島県でお茶づくりを始めたのは、世羅町にある在来種の茶畑に出会ったから。それまで京都府の茶舗や鹿児島県のお茶製造会社に勤務してきた髙橋さんは、自分の目指すお茶づくりとは何かと模索し「無肥料・無農薬栽培」という答えに行き着いていた。

「私は化学肥料を使ったお茶は、旨みが増して甘ったるい味になると考えています。それに加え、苦味やえぐみなどの雑味も増して、その土地の個性を消してしまうと思うんです」と髙橋さん。また肥料を多用することで病害虫が蔓延しやすくなり、農薬を使用せざるを得ない状況になりやすいともいう。

髙橋さんは、こうしたお茶の無個性化や環境問題に一石を投じるべく、自身が目指すお茶づくりができる畑を探していた。そんな中で「世羅茶再生部会」という、かつて盛んだった世羅のお茶づくりを復活させるために活動する人々と出会い、知ったのが世羅にある在来種の茶畑だった。

在来種とは品種改良されていない昔ながらのお茶の木で、種から育ってその地にしっかりと根を張り、種ごと、畑ごとに個性を発揮する。一般的に流通しているお茶のほとんどが、育てやすく多くの収量が見込めるよう品種改良されたもので、その土地に昔から根付いたお茶の木が残っていることは稀だそう。髙橋さんの目指すお茶づくりにうってつけの茶畑が、広島県にあったのだ。

こうして世羅町でお茶づくりを始めた髙橋さん。その後は、尾道市に自身がつくったお茶を楽しめる直営店の「TEA STAND GEN」と、全国からセレクトした無肥料・無農薬のお茶を楽しめる「茶立玄 山手」をオープンし、個性豊かなお茶を広く紹介している。

完全予約制で開店する「TEA STAND GEN」店内の様子

新たな着眼点でお茶の価値を伝える

TEA FACTORY GEN設立当時から8年経った現在も変わらず、髙橋さんは自らお茶の栽培や加工・製造を行っている。その理由を聞くと「面白いから手放せない」と笑顔で答えてくれた。

一方で変わってきたこともある。お茶づくりの経験が増えれば増えるほど、意図した味を出すことは簡単になってきた。だが「それって、ちょっと面白くないな」と感じることも多くなったという。

TEA FACTORY GEN設立当初につくったお茶に「浜茶」というものがある。瀬戸内海の潮風に当てて天日乾燥させた珍しいお茶だが 「あれは何も分かっていないからこそつくれた」と髙橋さんは言う。8年の経験を通じて、正解ラインが分かってきたことで「浜茶」を超えるような、意外性のあるお茶がなかなか生み出せないという悩みを抱えるようになったのだ。

悩みの打開策として、髙橋さんは今「日本茶の微発酵」に着目しているという。お茶の葉は木から摘み取った瞬間から発酵が始まる。日本茶をつくる場合、通常は摘み取った葉を熱処理し、発酵を止めてから加工するが、髙橋さんは摘み取った葉を風通しの良い場所に置いておき、水分を抜いて少しだけ発酵させている。微発酵により意図しないフレーバーが出ることもあるため、意外性のあるお茶を生み出せると考えているのだ。

また新たな取り組みとして、ロット管理も行うようになったという。全商品にロット番号を付けて、どの日にどの畑で摘んだか、どのロットで製造したかが分かるようにしているのだ。

お茶は育った畑や摘んだ日の天候などにより、味に違いが出る。そうしたお茶それぞれの個性を消費者に伝えるため、あえて大変なロット管理に踏み切った。「正直、ロット管理は超大変です。でもそれは生産者である自分たちにしかできないこと。お茶が衰退していった理由は、生産者がお茶の個性や面白さといった価値を、消費者にしっかりと伝えてこなかったからだと思うんです」と髙橋さんは力強く言う。

日本茶の微発酵と、ロット管理という新たな着眼点により、今まで以上にお茶の個性を伝えられるようになってきたTEA FACTORY GEN。その挑戦は今日も続いている。

「TEA FACTORY GEN」で栽培されたお茶の商品パッケージ

海外でのお茶づくりも視野に入れて

お茶の価値を高めるべく、新たな取り組みを実践してきたTEA FACTORY GEN。今後の展開については思案中ということだが「近いうちに、海外でのお茶づくりはしてみたい」と髙橋さんは言う。

日本の茶摘みシーズンは4月中下旬ごろから6月初旬ごろ。一方台湾やスリランカ、アッサム地方などの暖かい地域では一年中お茶づくりができるそうだ。日本でのお茶づくりが一段落した段階で渡航すればいいため、大切な世羅の茶畑を手放すことなく挑戦できる。

「海外でつくったお茶を日本で紹介したら、かなり面白いですよね」と目を輝かせながら将来の展望を語る髙橋さん。異国の地で茶摘みをする髙橋さんは、きっと新茶の葉っぱと同じぐらい生き生きと輝いていることだろう。

今回の取材は「茶立玄 山手」の1階にある特別席で

世羅町での茶摘みは6月初旬に終了。髙橋さんがつくった今年のお茶は、どんな個性を持っているだろうか。販売は直営店の「TEA STAND GEN」や「茶立玄 山手」、オンラインストアで行っている。ぜひ、その味わいを確かめてみてほしい。

TEA STAND GEN

〒722-0035 広島県尾道市土堂1丁目14-10 地図を見る

完全予約制

茶立玄 山手

〒722-0033 広島県尾道市東土堂町9-8 地図を見る

営業時間/10:00~18:00
定休日/木金

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