お茶の価値を伝えるブランド、TEA FACTORY GEN。2016(平成28)年に世羅町で在来茶の無肥料・無農薬栽培を開始し、2019(平成31)年には尾道市に直営店の「TEA STAND GEN」もオープンしました。

そんなTEA FACTORY GENが、2023(令和5)年から新たに手掛けているのが、尾道市にある「茶立玄 山手(TEA STAND GEN YAMATE)」。店主の髙橋 玄機さん自らが全国からセレクトした、オーガニック(有機肥料、無農薬)のお茶を楽しむことができる直営店です。

髙橋さんに「茶立玄 山手」の特徴や魅力についてお聞きしました。

オーガニックのお茶を全国からセレクト

「茶立玄 山手」で楽しめるお茶は、全てオーガニックでつくられたもの。一般的に、お茶は生産性を上げるため化学肥料を使ってつくられるが、化学肥料の多用には弊害もあると髙橋さんは考えている。旨味も増える分、苦味やえぐみが増してその土地の個性を消してしまったり、病害虫が増えるため農薬を使用せざるを得なくなったりするそうだ。

髙橋さんはこうしたお茶の無個性化や農薬による環境問題に一石を投じ、お茶の個性や面白さといった価値を広く伝えるべく、全国からセレクトしたオーガニックのお茶を「茶立玄 山手」で紹介することにした。

お茶のラインナップは、オーガニックの最先端である鹿児島県のものが中心。また髙橋さん自らが世羅町でつくった在来茶も楽しむことができる。その土地、その畑ならではのお茶の個性を感じられるはずだ。

尾道を感じながらホッと一服してほしい

「茶立玄 山手」があるのは、尾道市の山手と呼ばれるエリア。たくさんの仏閣を縫うように細い路地や階段が張り巡らされた、風光明媚な街並みが人気のエリアだ。

「オーガニックのお茶はもちろん、尾道を感じてもらえるのも当店の魅力」と髙橋さん。2階にある飲食スペースの窓からは尾道の街並みを臨むことができる。また茶器やお盆、椅子などは備後産のものを使用しており、地域の工芸文化にも触れられる。

尾道の風土を存分に感じられる空間で一服するお茶は、一味違う美味しさかもしれない。

観光客も地元の人も楽しめるお店づくりを

現在「茶立玄 山手」に訪れるお客さんのうち、8割は日本人観光客や地元の人、2割は外国人観光客だ。

近年、尾道市には外国人観光客も訪れるようになってきたため、そうした人たちにもお店を利用してもらえればと髙橋さんは考えている。だが意外にも、外国語が堪能なスタッフや外国語のメニューは置いていないという。

「自国の言葉が通じない方が、どうにかコミュニケーションを取ろうとするはず。それも一つの面白さだと思うんです。そういう旅の方が印象に残りますから」と髙橋さん。あえて日本語中心でおもてなしすることにより、外国人観光客とより深く関わりを持てればと考えているそうだ。

一方で髙橋さんはお店を完全に外国人観光客向けにする気はなく、日本人観光客や地元の人にも引き続き利用してもらいたいという。経営者として利益を追求するなら、海外向けに舵を切った方がいいかもしれないが「なんか、それって寂しい」と感じるそうだ。

日本人にとって当たり前にそこにあるお茶。尾道のゆったりとした街並みの中で、個性豊かなお茶を楽しみ、その価値について改めて考える。そんな体験ができるのが「茶立玄 山手」だ。