ジェラテリアクラキチが手掛けた
ユニークなフレーバー
石炭ジェラートを味わう
ジェラテリアクラキチが手掛けた
ユニークなフレーバー
石炭ジェラートを味わう
周南市/山口
2024.07.31
緑豊かな周南市長穂の山間にラボを構える手作りジェラート専門店「ジェラテリアクラキチ」。廃校の教室を改装した製造室をベースに、優しくも濃厚な味わいのジェラートを手掛けています。代表取締役を務める藤井蔵吉さんの実家は周南の地で1922(大正11)年より続く「藤井牧場」。牧場のミルクをはじめ、各原料の性質を見極めながらさまざまなフレーバーを生み出していく藤井さんの姿は研究者を彷彿とさせます。
細胞生物学を修めた学生時代から実験が好きだったという藤井さん。データを基に試行錯誤を重ねて最適解を導こうとする飽くなき探求心は、ジェラートの製造においてもいかんなく発揮されています。顧客の要望を受けてユニークなジェラートを提案。今回は数あるフレーバーの中からJR西日本広島支社の声掛けから開発がスタートした「食べるSLやまぐち号 石炭ジェラート」をピックアップし、完成までのエピソードも含めて紹介します。
ラボとして利用している旧長穂小グラウンドに立つ藤井さん
国鉄の近代化・合理化によりその多くが廃止されてしまった蒸気機関車。1973(昭和48)年には山口線からもSLが姿を消したが、熱心なファンや地元市町村を中心に気運が高まり、6年後に復活を遂げた。現在も新山口駅から津和野駅まで約2時間掛けて走る「SLやまぐち号」。その勇壮な姿やノスタルジックな石炭の香りは多くの人たちの心をつかんで離さない。
そんなSLやまぐち号に着想を得て作られたのが、食べるSLやまぐち号 石炭ジェラートだ。ミルク味をベースに竹炭パウダーで色を付け、石炭を連想させる黒いジェラートに仕上げた。中には本物の石炭と見まごうたっぷりのチョコクランチ。ザクザクとかみ砕く音は車輪の駆動に重なる。
SLやまぐち号 D51系200号機(通称デゴイチ)
インパクトのある見た目ながら、石炭ジェラートを口にしてみると上質な甘みが口いっぱいに広がる。特有のクセや苦味なども全くなく、年代を問わずに楽しめる仕上がりだ。チョコクランチの食感もいい。加えて甘すぎず、スプーンを持つ手が止まらなくなってしまう。
遊び心たっぷりの石炭ジェラート。藤井さん自身が楽しみながら製造したという。決して奇をてらったわけではなく、しっかりと美味しいのがその魅力。鉄道ファンならずとも口にしたい逸品だ。
遊び心たっぷりの石炭ジェラート
「小さな子どもたちがこのジェラートをきっかけにSLを好きになることもあるかもしれない。作り上げたジェラートが何かを繋ぐ役割を果たせたら、それはやりがいになりますね」と藤井さん。関わる人たちの思いや物語性が明確に反映されているというのも、ジェラテリアクラキチが手掛けるジェラートの特徴だ。
なお、現在のところ石炭ジェラートは新山口駅と徳山駅のみで購入可能。改札内に入ることなく買い求めることができるが販売場所が少ないレアな商品だけに、現地を訪れた際には是非味わいたい。その他商品の多くは宇部新川駅から徒歩8分ほどの場所にある実店舗「手作りジェラート専門店 クラキチ ペリカンレーベル 宇部店」や県内外のイベントでも販売されている。さらに、公式オンラインショップや「JR DISCOVER WEST mall」を通じてもこだわりのジェラートが届けられているため、遠方にお住まいの方は併せてチェックしてほしい。
藤井さんの取材は笑顔が絶えないひと時でした
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