下関市/山口

海の幸を通じ
下関の魅力を
全国へ届ける

下関市/山口

山賀 竜郎_山賀

2026.07.29

山口県下関市には、全国のふぐ取扱量の約8割を占める南風泊(はえどまり)市場や、日本有数の水揚げ量を誇る下関漁港があります。これらのほど近くに本社を構える株式会社山賀は、ふぐやのどぐろ、くじらといった海の幸を加工し、多彩な商品として展開してきました。さらに2019年には、下関市内に実店舗「和バル&ふぐ料理 Houseki(宝関)」もオープンし、ふぐやのどぐろを中心に、コースから単品料理まで提供しています。

「海の幸を通じて下関の魅力を全国へ発信したい」と語る代表取締役の山賀竜郎さんに、山賀のこれまでの歩みと現在の取り組み、そしてこれから描く展望について伺いました。

地域への思いを語る、代表の山賀さん

ふぐの現場に魅せられて

山賀は2008年に下関で創業した。創業者である山賀さんは、それ以前から水産業界に携わり、約20年にわたり経験を積んできた人物だ。もともとは下関市内の水産関連企業で営業職として働き、ふぐの加工品販売を担当していた。やがて南風泊市場の競りにも足を運ぶようになり、そこで目にしたのが仲卸業者や買付人たちの姿だった。身の締まりや脂乗り、白子の有無、産地などを総合的に判断し、価値を見抜くプロの仕事に触れ、「自分もこうありたい」と強く惹かれたという。

その後は営業の枠にとどまらず、ふぐの仕入れや加工にも携わるようになる。さらに商品開発にも関わり、自らの手で新たな商品を形にしていく面白さにも目覚めていった。在籍10年を迎えるころには、新たに立ち上がった関連会社の代表を任され、そこから経営の経験も10年ほど積んだ。

こうして培ったノウハウや顧客との信頼関係をより生かすため、独立し、水産加工会社として立ち上げたのが山賀だ。

現在は、南風泊市場近くに事務所を構えている

ニーズに応え、新たな商品へ

商品開発は、顧客のニーズに合わせて進められてきた。業務用のとらふぐの皮刺しや、一般消費者向けの刺身など、求められる商品を一つひとつ形にし、ラインナップを広げていった。その一方で、テレビなどで話題の食を目にすると、「これをふぐでつくったらどうなるか」と発想を広げ、次々と試作を重ねていく。しかし、思うように形にならないことも多く、失敗に終わることも少なくなかったという。

そうした試行錯誤を重ねるなかで生まれたのが、 2014年に販売を開始した「とらふぐ焼き塩造り」だ。一晩寝かせて旨みを引き出した国産とらふぐを、焼き塩と柚子胡椒を合わせた特製ダレに漬け込み、瓶詰めにした一品。角の取れたまろやかな塩味が特徴で、クセになる味わいに仕上がっている。山口県水産加工展で最高賞である農林水産大臣賞を受賞し、メディアでも取り上げられたことで、会社の認知度向上にもつながったという。

また、この商品の開発は、新たな自社ブランド「宝関 Houseki」の誕生にもつながった。「海からいただいた宝石」と「下関」の文字を組み合わせた名称で、「とらふぐ焼き塩造り」に続き、国産天然マフグのオイル炊き「コンフィグ」や「トラフグのバジル薫るマリネ」などがラインナップされていった。

さらに、現在ではふぐに限らず、のどぐろの炙り刺しやしゃぶしゃぶ、くじらのタンシチューやアヒージョといった商品も展開している。「いずれの商品も、下関に水揚げされる魚を全国に広めたいという思いから手がけたものです」と山賀さん。顧客のニーズに応えながら、下関ならではの海の幸を広く届けていく。そうした思いが多彩な商品開発につながっている。

「とらふぐ焼き塩造り」をはじめとする、自社ブランド「宝関」

食べる場から魅力を伝える

さまざまな加工品を展開するなかで、2019年には下関市内にふぐやのどぐろを楽しめる実店舗「和バル&ふぐ料理 Houseki(宝関)」をオープンした。背景には、下関を訪れた人に美味しいふぐを安心して食べてもらえる場所をつくりたいという思いがあった。

「高級感のある料理を求める人、カジュアルに楽しみたい人、そのどちらにもご利用いただける店になっています」と山賀さん。店内には、気軽に楽しめる開放的なバル空間と、ゆったりと食事ができる個室空間が備えられており、ランチタイムはバル空間を中心に、ディナーでは個室も含め利用できる。料理は、お刺身やふぐちりなどからなる予約制のコースに加え、単品料理も用意。いずれも水産加工のプロである山賀の職人が一つひとつ丁寧にさばいている。山口の地酒も取り揃え、料理とともに楽しめるのも魅力の一つだ。

開店以来、観光客だけでなく地元客にも利用され、賑わいを見せている。加工品づくりで培った技術と目利きを生かし、食べる場から地域の魅力を伝えている。

ふぐやのどぐろを味わえる「和バル&ふぐ料理 Houseki(宝関)」

価値を手渡し、土地を伝える

現在、山賀の手がける加工品は、東京をはじめとする各地の飲食店や旅館などで提供されている。また、自社オンラインショップやJR西日本の公式オンラインショップ「DISCOVER WEST mall」でも展開中だ。

自社オンラインショップを通じた産地直送は、一件ごとの対応となるため手間も多いが、「真摯に取り組み、良い商品を提供すれば、顧客は必ず評価してくれる」と信じ、創業当初から続けてきたという。その積み重ねのなかで、確実に出荷するためのノウハウも培われてきた。今後は、そうしたノウハウを生かしながら、消費者向けの展開にもさらに力を入れていく考えだ。

また、取り扱う魚種を増やすことも視野に入れている。これまで中心としてきたふぐやのどぐろ、くじらに加え、えびやいかなど新たな食材にも取り組み、水産加工の可能性を広げていきたいという。

「下関という土地自体が一つのブランドだと思っています。その価値を伝える一端を担えればうれしいですね」と山賀さんは語る。歴史や文化が息づくこの土地の魅力を、水産加工品をきっかけに知ってもらう。その挑戦はこれからも続いていく。

和バル&ふぐ料理 Houseki(宝関)

〒750-0014 山口県下関市岬之町16-3 地図を見る

予約・お問い合わせ/083-250-7929
営業時間/[ランチ]11:30~14:30(ラストオーダー14:00)
[ディナー]18:00~23:30(ラストオーダー23:00)
定休日/[ランチ]水・日・祝日、[ディナー]水曜日
※日曜日・祝日は不定休(事前に要確認)

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