宇部市/山口

竹に眠る力を、肌と暮らしへ
ミネラルが整える、やさしい毎日
bambinaが届ける、里山からの提案

宇部市/山口

永茂 昌伊_ミネラリスト

2025.08.06

地域課題である竹の有効利用に目を向けながら、スキンケアやランドリー、フードといったジャンルで商品を展開する「ミネラリスト」。山口県宇部市に本社を置き、健康的な肌づくりと環境保全の両立をめざすサステナブルなスキンケアブランド「bambina(バンビーナ)」を展開しています。bambinaの製品には、山口県産の孟宗竹を炭化・抽出したミネラル成分「竹炭ミネラル」が配合されています。植物由来のこのミネラルは、生体との親和性が高いとされており、日々のケアに取り入れている方も多いようです。

環境に配慮したものづくりという付加価値に加えて、製品そのものの使い心地や品質が広く支持されているミネラリスト。代表取締役の永茂昌伊(ながもしょうい)さんは、「自分自身が本当に良いと納得できるものしか販売しない」と語ります。

山口の自然に根ざした素材を生かしながら、丁寧に商品を企画・提案し続けている永茂さん。しかし、実は出身地は大阪府で、かつてはフラワー装飾の分野で活躍されていました。その後、山口県に移住し、現在の活動に至るまでの歩みと、ミネラリストのこれからについて、お話を伺いました。

自身の憩いのスペースでもある事務所の一角で語る、代表の永茂さん

竹の有効活用を考えた「竹炭ミネラル」

大手百貨店や空港のフラワーディスプレイを担当していた永茂さん。その後は飲食チェーン店の企画室に籍を置いてヒット商品を生み出すなど、クリエイティブな仕事に長く携わっていた。やりがいも大きかったが、結婚を機に退職。夫の地元である宇部市に移り住み、10年余は子育てや介護に専念していたという。

移住当初は慣れない地域での暮らしに戸惑いや寂しさを感じることも多かった。しかし、子どもたちが里山の中で自然に親しみながら成長する姿を見て「ここに来て良かった」との思いが強まっていったそうだ。子育てが落ち着いてくると、少しずつでも自分で何かしたいとフラワーレッスンを開講。そうした折に、美容師である夫がスキンケアに活用できる天然由来成分を探求していたことがきっかけとなり、竹炭ミネラルの存在を知る。

過疎化によって放置された竹林が拡大することで土砂崩れの危険性や、里山の雑木林などを侵食して生態系に影響を及ぼすなどといった「竹害」が問題となるなか、竹の有効利用を模索する研究者が産学官連携のもとで製品開発を進めていた竹炭ミネラル。研究者の思いに共感した永茂さんは自らのキャリアを生かして企画を練り始める。当初はカリウム成分が豊富なことから洗剤として製品化される予定だったが、入浴剤代わりに使用した際の使用感に注目した永茂さんは、肌にやさしい印象を受けたという。そこから3年の歳月をかけ、使う人に寄り添うミネラル製品を形にした。環境への配慮も込められたその製品には、永茂さんの思いが詰まっている。

ご主人が運営する美容室と併設されている事務所

自然由来成分を生かした、ミネラル配合のケア製品

最初に手掛けた製品は2種。一つは「活性水スプレー」。赤ん坊やデリケートな肌の方も手に取りやすい、髪や全身に使えるシンプルなケアアイテムだ。主成分である竹炭ミネラルには、自然由来のミネラル分(ケイ素や硫黄など)が含まれており、さっぱりとした使用感が特徴。現在もbambinaが展開するスキンケアシリーズすべてに、このベースが用いられているという。

もう一つは「スーパーミネラル」。天然素材で作られた入浴用アイテムで、弱アルカリ性の原液をお湯に入れて楽しむ。お湯の質感が柔らかくなったように感じられるという声もあり、湯上がり後に「活性水スプレー」と併せて取り入れる利用者も多いそうだ。無香料なので香りが気になる人にも使いやすい。

最初に手掛けた商品「活性水スプレー(右)」と「スーパーミネラル(左)」

徐々にファンを増やした「bambina」ブランド

ネーミングや容器にもこだわって完成させたミネラル製品。どこで売ればよいかと思案して地元の空港へ持ち込んだところ、山口県内の逸品を幅広く揃える「やなぎだ 山口宇部空港直売店」での販売が決まった。当初はさほど売れなかったというが、一度使った人がリピーターとなって徐々に売り上げが上昇。直売店のスタッフも前のめりでPRしてくれた。

「ほどなくすると永茂さんのもとには「使い心地が気に入った」「肌になじみやすいと感じた」といった声が寄せられるようになった。あわせて、「スキンケアシリーズとして他のアイテムも展開してほしい」という要望も高まり、夫が関わる製造業者や竹炭ミネラルの研究開発に携わった技術者らの協力を得ながら、5年ほどかけて試行錯誤を重ねた。2019年には化粧品としての製品化準備を整え、bambinaブランドを本格的に始動。あわせて株式会社ミネラリストを設立し、製品開発と販売に専念する体制が整った。

ちなみに、bambinaとはイタリア語で「可愛いらしい女性」のこと。そこに竹を意味する「バンブー」の響きを重ねてブランド名とした。一方のミネラリストには「竹炭ミネラルを届ける人」という意味が込められているそうだ。

うべスタートアップが主催する「ビジネスプランコンテスト2019」において、優秀賞を受賞している

肌の調子を整えるケアとして

当初は販路の拡大まで想定していなかったと語る永茂さん。製品が形になった時点で、ひとつの節目を迎えたように感じていたという。しかし、反響の広がりとともに取扱店舗は増加。現在では空港に加え、山口県内の道の駅や都市部のセレクトショップでもミネラリストのアイテムを取り扱っている。また、自社オンラインストアDISCOVER WEST mallでもbambinaのスキンケアシリーズの購入が可能だ。

ミネラリストのアイテムは、使い心地のよさやシンプルな処方が支持され、敏感肌の方からも選ばれているという。永茂さんは「スキンケアには人それぞれの相性がありますが、肌と丁寧に向き合う時間の中で、心地よいケアの一つとして取り入れてもらえたら」と語る。竹炭ミネラルを配合した素肌にやさしい処方を、日々のケアに役立ててほしい。

特に敏感肌の人たちから好評を得ている「bambinaシリーズ」

お客様の実感を大切に、竹の可能性を未来へ

現在、ミネラリストではスキンケアシリーズに加えて、竹パウダーをブレンドした発酵食品「食べるbambina熟成発酵竹ぬかどこ」なども展開。当初は製品化に至らなかった洗剤も、処方や使用感にこだわりを重ねたうえで、販売へとつながった。今後もスキンケアの軸として竹炭ミネラルを生かしつつ、新たな視点から竹の魅力を引き出す製品づくりを目指しているという。ただし、ラインアップを急拡大するのではなく、「自分が納得できる品質をしっかりと守ることが大前提」と永茂さん。丁寧にものづくりと向き合う姿勢に変わりはない。

竹を有効活用し、環境にもやさしい選択肢を提供したいという軸も揺らがない。一方で永茂さんは「どんなに環境に配慮した製品でも、まずお客様が喜んでもらえる商品でないと、意味がないんです」と語る。「その体験を通して、実は環境のためにもなる製品だったと知ってもらえたら嬉しいですね」とほほ笑む。良いものを、長く愛用してもらえるかたちで提案し続けることが、美しい里山の保全にもつながっていく。

多くの人の暮らしに寄り添う、ミネラリストの商品群

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