「萩ガラス工房」が実施する
ガラス体験教室で
世界に一つのガラスアイテムを作る
「萩ガラス工房」が実施する
ガラス体験教室で
世界に一つのガラスアイテムを作る
萩市/山口
2024.05.22
山口県萩市・椿群生林で有名な笠山のふもとにある「萩ガラス工房」。一度は失われた「幻の萩ガラス」を復興させると共に、笠山で採れる石英玄武岩から割れにくく耐熱性に優れたガラス製品を製造・販売しています。工房内には自然が生み出す緑色が美しい「玄武岩ガラス」や自然発生したヒビの成長を楽しめる「内ひび貫入(かんにゅう)ガラス」など、萩ガラス工房ならではの高度な技術を駆使した個性豊かな製品がずらり。原石から手掛けたこだわりのガラスを求めて訪れる人が絶えません。
また、工房内では各種「ガラス教室」を実施。地元の素材から最終製品を仕上げる「一貫生産」を実現した、萩ガラス工房だからこそ提供できる特別な体験です。今回は本格的な職人気分が味わえる「宙吹きガラスコース」についてレポート。オンリーワンのコップが仕上がるまでの模様を紹介します。
慣れない作業に終始緊張気味
ベテランスタッフによるマンツーマンの手ほどきを受けながら、職人の道具をそのまま使用して自分だけのガラスを作る「宙吹きガラスコース」。丁寧なフォローで未経験者も安心だが、萩ガラス工房の製品と同じ材料を用いて上質な硬質ガラスを仕上げることができる。今回製作したのは内ヒビ貫入ガラスのコップ。大きさや色は好みによってセレクト可能だ。
作業場に入ると、まずはベテラン職人の松浦次展さんが吹き竿の先を溶解炉の中に入れ込んだ。オレンジ色に溶けたガラスを巻き取って「下玉」を作り、息を吹き込む準備を整えてくれる。指示を受けながら息を入れる段になると、かなり力を込めて吹く必要があることに驚く。それと同時に生き物のように動くガラスの形を丁寧に整えなければならないため、繊細さも求められる気の抜けない作業といえるだろう。
作業場には高機能の換気システムが取り入れられているが、目の周りを中心にじわじわとした熱さを感じる。所要時間は15~20分ほど。無心に作業を続けているとあっという間だ。作ったガラスは一晩掛けてゆっくりと冷却していく。完成品の受け渡しは翌日以降となる(発送希望の場合は別途送料が必要)。
今回指導してくれた松浦さんは、萩ガラス工房で働き始めて26年目という。ガラス作りの難しさについて尋ねると「全部難しい」と笑顔で答えてくれた。長年にわたって作業を続けているが楽な工程はない。まだまだ頑張らなければならないという言葉から仕事に対する真摯な思いが伝わってきた。
膨らまし方一つでも仕上がりが大きく変わるため、美しい製品になるよう意識しながら日々の作業に取り組んでいるという。特にこだわっているのはヒビの入り方だ。ヒビ自体が薄く入ったものが理想。自身の技術についてもう十分と満足することはなく、いつも前を見据えている。
優しく指導していただいた職人の松浦さん
「宙吹きガラスコース」は息を吹き入れて硬質ガラスを膨らませるため中学生以上が対象。その他には幼稚園生から大人まで楽しめる「ガラス彫刻コース」も実施されている。砂を高圧力で吹き付けてガラス表面を削る技法「サンドブラスト」の製作体験だが、図柄をスキャンして自動カッティングするためカッターなどの刃物は不使用。安心して取り組める。小学4年生以上(父兄同伴)であればガスバーナーを使った「アクセサリーコース」の製作体験もおすすめだ。色ガラス棒をバーナーで溶かしてペンダントやキーホルダーを仕上げていく。
楽しみながらガラス作りの奥深さを味わえる各種ガラス教室。体験後に萩ガラス工房の代表取締役を務める藤田洪太郎さんが内ひび貫入ガラスの製作条件を説明しながら「口では簡単に言えるけど実践するのはまだ難しい」と語ってくれた言葉が印象的だった。ともあれ、まずは人気の体験教室でオリジナルのガラスアイテム作りに挑戦してほしい。各コースとも空きがあれば随時受け付けてもらえるが、できるだけ電話予約を。
お気に入りの「内ひび貫入ガラス」のコップが完成しました!
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